逆流性食道炎(咽喉頭逆流症)
逆流性食道炎(GERD)とは胃酸(強酸)を含む胃の内容物が食道内に逆流することで、食道の粘膜に炎症が起きた状態です。
日本人には少ない病気でしたが生活習慣や食生活の変化などによって最近この症状を訴える方が増える傾向にあります。
原因としては下部食道括約筋(食道と胃の境目にある逆流を防ぐための筋肉)の加齢による機能低下、ベルトや下着による腹部の締め付け、前かがみの姿勢、肥満、重い荷物の持ち上げ、運動などによる腹圧及び 胃内圧の上昇やアルコール、喫煙、高脂肪、高タンパク食、過食などによる一時的な下部食道括約筋圧低下と胃酸の分泌の増加などがあります。
症状としては胸やけや呑酸(酸っぱい液体が口の中まで上がってくること)ゲップが多い、胃部腹部の膨満感、食欲不振、胃もたれ、胃痛、咳、喉の不快感など様々な症状があります。
ほとんど症状を感じ無い方もいます。
咽喉頭逆流症(LPRD)
のどの異物感や違和感を訴える方の中で、耳鼻咽喉科的には器質的に異常が見られない場合でも逆流性食道炎の所見を認める場合咽喉頭酸逆流症と呼びます。
症 状
・咳の症状?咳払い、煩わしい慢性の咳
・音声の症状?声枯れ、声が出しにくい
・のどの症状?飲み込みにくい、何か詰まっている感じ、張り付いている感じ、塊がある感じ
・逆流性食道炎の症状?胸やけ、呑酸
食道症状の無い方も4割程度に見られます。
胃酸がのどにまで逆流し、のどの粘膜を傷つけることで炎症や症状が出る場合と胃酸の逆流は食道内にとどまっていてのどの炎症は無いが食道周囲にある神経が刺激されて症状が出る場合とがあります。
診 断
当院では逆流性食道炎の診断に用いられるFSSGと言う問診票を記載していただき、診察時には咽頭ファイバースコピーにて咽喉頭部の詳細な観察を行います。(できるだけ痛みが無いよう鼻の中に表面麻酔をして行います。)
所見として披裂部粘膜の発赤、浮腫、披裂間粘膜の肥厚、声帯浮腫、喉頭室閉塞、肉下種、下咽頭粘液貯留などがあります。
食道内のカンジダ(カビの一種)や腫瘤病変が発見されることもしばしばあります。
治 療
食生活や生活習慣の改善が重要ですが胃酸を抑えるPPI(プロトンポンプインヒビター)やH2ブロッカーなどの薬物治療を行います。
耳鼻咽喉科的に必要な治療はもちろん当院で行いますが、あくまでも消化器内科的疾患ですので症状や経過によっては消化器内科の受診や胃内視鏡の検査をお勧めする場合があります。